秋工ラグビー復活の兆し

  1. 東京秋工会顧問
  2. 関東ラグビーフットボール協会会長

  3. 志賀  英一
  4. (昭和31年工業化学科卒)

秋工ラグビー部は1928年創部以来2010年迄の82年間で国体13回、全国大会優勝15回は恐らく今世紀中には破られない記録だろうと思います。しかしながら1988年を最後として現在迄22年間に亘り優勝を手にしていないのも事実です。かって名門と言われた、北見北斗・盛岡工・保善・目黒・相模台工・天王寺・四条畷・天理・新田高・福岡高と数多くの学校が衰退して行く理由は各々異なると思いますが伝統を支えていく事が如何に困難な事なのかを如実に顕しているのかも知れないと思いながら、秋工だけは復活して欲しいと望みを懸けていました。
 その矢先、昨年4月学校長の異動で熊谷校長から船木校長に代わったと聞き6月帰秋した折に太田同窓会長と学校を訪問、船木校長とお会致しました。同校長は秋工の経営はラグビーを校技とし復活させ生徒に誇りと夢を与える学校経営を行いたいと話しておられました。同校長は教育大学時代(現筑波大学)柔道部で鍛えたスポーツマン、繊細でしかも豪放磊落なお人柄と感じました。企業の盛衰もトップのリーダーシップが全てです学校経営にしても同じです。
船木校長在任中に長い低迷時代のトンネルを抜ける切っ掛けが出来るのではないかとの思いで「熊谷スポーツ文化公園」で開催した第11回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会を応援に行きました。グランドには船木校長を始めとして生徒・父母・OBと多数来ておりました。
 本大会は全国各地から32校が出場し予選リーグ3試合を行い勝率のよい一校が決勝トーナメントに出場する方式で、秋工のグループは桐蔭学院との勝負が全てを決すると思っておりましたが1回戦桐蔭学院との試合14対7で負け、2回戦は筑紫高との試合では0対22で勝ち、3回戦は新田高と行い0対60で勝ちましたが惜しくも決勝トーナメントには進めませんでした。 今回の対桐蔭学院戦は秋工の試合としては此処数年見た事のない素晴らしい内容のある試合でした。前半開始早々桐蔭にトライを奪われこれは大量得点で敗退かと思っていた直後、秋工がトライを奪い前半
は7対7で終了。後半このままでは引き分け抽選かと思っていた所、桐蔭学院が休ませていた高校日本代表選手松島をフルバックに投入し彼のライン参加で終了間際に逆転のトライを奪われ惜敗したが明日に繋がる試合でした。秋工が今迄と違って良かった点はデヘンスの時バックスラインがSOを先頭に一斉に前に出てのタックルを前半・後半を通じて揺るがなかったことがゲームを引き締めた。FWもフランカーを中心としてのタックルのよさが光っていた。最近のラグビーは防御に力を入れるラグビーになってきておりタックル等で相手のミスを誘い勝負する傾向が強くなってきている。今回の試合も好タックルが最後迄緊張感のある試合になったのではないかと考えます。
 今迄は夏合宿後伸び悩む傾向が有りましたが今年は全国大会の秋田予選に焦点を合わせた強化計画を実施出来れば必ずや花園で行われる全国大会での好成績に繋がり復活の兆しを確かなものにする事が出来るのでないかと期待しております。

追記
 今回「高校ラグビーフットボール日本代表選手」の団長として今年3月13日〜29日迄の16日間フランスへ遠征致しました遠征記は後日チャンスがあれば書きたいと思っております。選手の中に秋工から選抜された「笠井大吉」君が参加、彼は身長183センチ、体重109キロと大型プロップで将来の日本代表を期待できる素質を持っています、阿仁出身で秋工入学時は駅伝部に席を置いておりましたが、駅伝の監督から君は身体も大きく持久力もあるからラグビー部に行けと言われて入部プロップとして活躍。今回のフランス遠征でもプロップとして参加、今後4月から筑波大学に入学が決まっております、将来は教師になって母校に帰りたいと抱負を語っておりました、筑波大学は今年も高校代表クラスが3名入学しており大学ラグビー対校戦グループでは好成績が期待されているチームです何卒応援して上げてください。