戻る

会員寄稿

「明大(吉田義人監督)、奇跡の逆転優勝!/関東対抗戦  寺田大樹活躍 」

2012/12/05


秋田事業所船木です。
「 明大、奇跡の逆転優勝!/関東対抗戦  寺田大樹(秋工出)活躍」産経スポーツ新聞(NO.104)記事 を紹介します。

26−32の早大リードでラストワンプレー。 明大渾身の突進に、国立競技場の3万2132観衆の熱気は頂点に達した。 敵陣ゴール前の密集からSH山口修平(3年)のパスを受けたSO染山が、タックルされながらボールを離すと、 バウンドした楕円球を途中出場の古屋がキャッチ。ゴール左に飛び込むと歓声と悲鳴でスタンドが揺れた。
 「染山をサポートしたら、内側にボールを浮かせたので、取るのに必死だった。飛び込んだときは勝ったと思いました」

 41分52秒の起死回生のトライを、古屋が笑顔で振り返った。染山のゴールで33−32と逆転した直後にノーサイド。

4年ぶりの早大撃破。ピッチに立つ選手にとっては初めての早明戦勝利だ。通算100戦目のメモリアルマッチは劇的な幕切れとなった。

 「最後まで仲間を信じていました。原点に返りメイジの前に出るラグビーができました」

 FL竹内健人主将(4年)が誇らしげに口を開いた。
3年前の1年生同士の早明戦は96−0と圧勝したが、公式戦では早大の“赤黒ジャージー”の前に苦杯続き。最後のシーズンにかける4年生の執念が、4年ぶりの早大戦勝利を後押しした。

 2敗を喫しV戦線を離脱した早大に対して、5勝1敗で迎えた伝統の一戦。
前日の1日に帝京大が筑波大に敗れたため、14年ぶりの対抗戦優勝をかけた試合になったが、主将は早大戦を特別扱いしなかった。
「いつも通りやれば結果は出る」と試合前日のジャージー授与式をあえて行わず、平常心を貫いた。

 前半はWTB斉藤春樹、CTB猿楽直希と4年生が全3トライ。19−13で折り返した後半13分までに早大に3連続トライを許して19−32とされたが、竹内は「負ける気はしなかった」と前だけを向いていた。1996年に95歳で亡くなるまで67年も指揮を執り続けた故北島忠治監督のモットーが部訓ともいえる「前へ」。後半32分にスクラムを押して早大の反則を誘いペナルティートライ(ゴール)。
そして劇的な逆転につなげ、北島イズムを開花させた。

 12度の大学日本一を誇る名門も、1998年度の対抗戦Vを最後に低迷期を迎えた。
 2007年早明戦は7−71で粉砕された。08年度は対抗戦6位で24季ぶりに大学選手権に進出できず、 吉田義人監督(秋工出)就任翌年の10年度の大学選手権準決勝でも早大に10−74の最多失点で完敗。就任4年目で監督として初の早大戦勝利、対抗戦制覇を果たした指揮官は「選手の喜ぶ顔が見たかった」と涙ぐんだ。

 だが、勝利の歓喜はこの日で封印した。竹内主将は「優勝しても僕らは(大学選手権への順位づけで)3位。選手権の優勝は1校だけ。ここから勝負です」。16季ぶりとなる大学日本一への挑戦がスタートする。 (吉田宏)

以上

船木政秋氏 (秋田在住S44K)

早大ゴール直前でボールを得た明大・古屋(中央)がトライしたのは後半41分52秒。染山のゴールも決まり、33−32の劇的逆転勝利を飾った。
(撮影・中井誠)

「明大(吉田義人監督)、メイジ維新/関東対抗戦 その2 」 産経スポーツ新聞(NO.105)

秋田・男鹿半島で生まれた元わんぱくガキ大将のほほを、涙が伝った。43歳で迎えた監督4度目の早明戦。
現役時代に名勝負を繰り広げた宿敵との通算100戦目での監督1勝。指揮官の口を突いたのは、選手への 称賛と感謝の言葉だった。
 「本当に真っ向勝負をしてくれた。国立で勝たせてやりたかった」

 明大1年から快足を武器に日本ラグビーの人気を支えてきた。意を決して母校のグラウンドに戻ったのは2009年春。大学日本一12度の名門は前年度に24季ぶりに大学選手権進出を逃すなど、「どん底どころじゃない状態」だった。(吉田監督)

 こだわったのは「メイジの矜持(きょうじ=プライド)を取り戻すこと」と振り返る。
「選手に自信も誇りもなかった。それがないとグラウンドに立ち、前に進めない」。通常の時間帯の練習では十分な時間を割けないと判断すると、朝6時からに変更。80分間走れる持久力、どんな相手にも打ち勝つ体づくりを地道に続け、4年目の勝利を果たした。

 後半13分には13点差に離されたが「不安はなかった」。理想はFW、BK一体のラグビー。
前半の3トライをBK、後半のペナルティートライを含めた2トライをFW戦で制した。メモリアルマッチで“メイジ維新”を成し遂げた。吉田宏)

以上

船木政秋氏 (秋田在住S44K)

 感涙をこぼした吉田監督(中央)も、手塩にかけたフィフティーンに囲まれると笑顔。右後ろに寺田大樹 明大2年(秋工出)(撮影・北野浩之)

戻る