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会員寄稿

七曲峠と鎌鼬美術館(秋田県羽後町)

2017/04/22

秋工卒の暗黒舞踏家土方巽(1928-1986)が被写体となった細江英公の写真集「鎌鼬(かまいたち)」(1969年刊)の撮影地、秋田県羽後町田代地区で土方の没後30年を機に2016年10月鎌鼬美術館が開館した。 美術館設立に当たって、整備費の半額を羽後町からの補助金に頼る予定だったが議会から認められなかった。インターネットで小口寄付を募るクラウドファンディングや寄付金を基に旧長谷山邸内蔵を改修し開館にこぎつけた。開館日は土、日曜と祝日のみで2016年冬季は休業し、2017年4月16日に再開した。

2017年4月22日レンタカーで、秋田市を午前9時半に発ち、秋田自動車道から湯沢横手道路経由湯沢インターで降り西に向かった。左前方に鳥海山が雲から顔を出したり隠れたり。羽後町西馬音内梺でカーナビの案内とは別に県道57号線から西馬音内川を渡り県道275号線に入った。この道は1965年9月土方と細江が通った道で七曲峠へと続く。藩政時代には内陸の羽後町から日本海側の由利本荘に続く重要な道であった。

残雪の林を縫った山道の登り急カーブが続き「落石注意」の標識が随所にあり実際に落ちて来たと思われる石がゴロゴロしている。長命水と名付けられた湧き水で山野草の写真を撮り、肘曲の看板があったヘアピンカーブの先のシェルターを抜けしばらく行くとその先に鎌鼬美術館が見えて来た。

自分が育った村では、蔵は屋敷内の別棟になっていて、「内蔵」とは聞いたことがなかったが、秋田県南部の豪雪地帯では母屋の中に土蔵を作った。貴重な調度品などを火災から守り、内蔵の中には文庫や座敷のあるものもあり結婚式なども行われた。内蔵を覆う上屋建物を「鞘」といい、内蔵の入り口や周囲を豪華に飾った漆塗りの木枠を「鞘飾り」という。このことは昨年湯沢市増田町の内蔵を見たときに学んだ。

赤川 均

七曲峠から羽後町役場方向

昔はこの峠を通って日本海方面へ出た

長命水の付近にイチゲ

ひさしぶりに見た自然のカタクリ

スノーシェルター(帰り)

正面の高台に見える鎌鼬美術館・旧長谷山亭

鎌鼬美術館

鞘飾りのある内蔵

左側の鞘飾りにイタチの剥製

ポスター・横尾忠則作

けやきの柱がふんだんに使われている

2階はビデオルームになっている

旧長谷山邸母屋

長谷山邸母屋から美術館の3階に渡り廊下と階段で繋がっている

3階の座敷

民宿 茅ぶき山荘格山(かくざん)・美術館から

美術館のすぐ近くのレストラン結心(ゆうしん)で、鎌鼬ラーメン」を食べた。豚骨からだしを取りみそあじの郷土料理「どんがら汁」をラーメンにアレンジしたもの。

記念に写真集

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